『夕あり朝あり』
タイトルにあります『夕あり朝あり』は三浦綾子さんの小説です。
この本には25年前に出会いました。
当時、白洋舎厚木工場でアルバイトしていた学生の私に工場の先輩が薦めてくれました。
内容は白洋舎の創始者である五十嵐健治さんが自分の半生を振り返る形で明治、大正、昭和と三つの時代が描かれています。
明治は国民みんなが貧しく食うにも困る時代にクリーニング業はそれほど需要はありませんでした。
五十嵐少年はお金持ちになることを夢に見て職を転々としますが、何をやってもうまくいかず多くの失敗を重ねていきます。
そのうち努力の甲斐あって三井呉服(現在の三越)に入社することができ、ここで猛勉強に励みます。
10年後に起業し、白洋舎を明治39年に創業します。
創業当初「一心不乱に得意先をまわった」とあります。
このころから大正にかけて洋服が徐々に庶民に浸透していきます。
と、同時にクリーニングの需要も増えていきます。
当時、日本では洗濯しても型崩れしないドライクリーニングの技術は確立されておらず、五十嵐氏はドライクリーニングの技術進歩に全身全霊を傾けます。
工場は何度か爆発事故を起こしています。
石油を原料にした有機溶剤で洗濯するので当時の技術では火が溶剤に引火してしまいました。
多くの失敗を経験にかえ、ドライクリーニングの技術と安全を確立します。
「社会奉仕の精神でことを行わなくてはならぬ」ということで、ドライクリーニングの技術特許を取らず、広く同業他社と技術を分かち合います。
私たちクリーニング業者が現在当たり前のように行っている技術と安全も先人たちの失敗、努力、知恵といった土台があってこそのものです。
日々感謝の気持ち、社会奉仕の精神、業界の技術発展に貢献したいと、この本を読むたびに思い出させてもらってます。
また、この小説はクリーニング業に携わっていない一般の人でも歴史、人物伝などのジャンルが好きな人ならおもしろく読めると思います。機会があれば読んでみてください♪
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